にーやんのブログ

三振したにーやんが再ローを経て司法試験に合格した弁護士の物語である

修習とロースクールにおける実務科目。の巻

ご無沙汰のにーやんです

今は弁護修習中で,ほんと時間の流れがはやいです。
弁護修習では,とても幅広く勉強させて頂いています。

毎日,勉強になる充実した修習を過ごしています。
正直,ずっと弁護修習やりたいレベルです。

もっとも,うちの班の人の話を聞いていて思ったのは,弁護修習って当たり外れがすごく激しいということ。

まぁ,人付き合いが苦手みたいな理由もあるので,何が当たりかというのは人それぞれかもしれませんが。
自分は,2カ月という期間でありながら,ほんとに幅広く色々と見学や起案をさせて頂けて,とても勉強になっています。
これは指導教官が理解のある方で,しかも事務所内の弁護士が比較的多く,指導教官じゃない若手の先生なんかも色々と面倒をみていただいたり,たまたま知り合った若手の先生にもお世話になったりと,実質4人くらいが指導教官のような贅沢な環境のおかげです。

そんな充実した弁護修習ですが,人によっては,セクハラ,パワハラに近いことをする教官なんかもいるとかいないとか。
まぁ,セクハラやパワハラって,受け手の気持ち次第という部分もあって,相性なんかもあるかもしれません(修習生の会話なので話を盛っているという可能性も……)。
そういう話を聞くと,自分の指導教官は人格者で尊敬できる素晴らしい方で,本当にラッキーだったなと思います。

そして今,修習生として思うことは,これに尽きます。

ロースクールよりも修習のほうが楽しく充実した実務の勉強ができる!

ということで,修習期間を元に戻して2年にして欲しいなぁと。まぁ弁護修習だからこんなことを思うのかもしれませんが……
別にロースクール制度はあってもいいけれど,別に修習期間を1年に短縮しないほうがよかった。
昔は修習期間は2年でロースクール制度が始まって1年分をロースクールでやれってなったわけだけれど,司法修習で1年分をロースクールで教えられているとは到底思えない。
少なくとも予備試験合格者なんかは旧司法試験合格者のように修習期間を1年半とかに延長してもいいんじゃないかなぁ。研修所的には面倒な仕組みになるけれど(汗)

というのも,実際,ロースクールにもよるけれども,やはりロースクールは実務っていうより,予備校(劣化番)みたいな感じで,実務修習1年分をロースクールが補っているとは思えないから。
もちろん,その代わりロースクールでは偉い先生によるハイレベルな判例分析なんかは実務においてもとても参考になります。これも,ロースクールによるかもしれませんが(汗)
ただ,そういう基礎的な部分と実務科目の比重を考えると,やっぱりロースクールでは前者に重きを置くので,もう少し実務の勉強もロースクールでやったほうがいいなと。
2回目のロースクールでは実務科目もかなりハイレベルでしたが,単位数的にもう少しあってよかったなと。
要するに,ロースクールにおける実務教育は足りていないって思うのです。
内容はロースクールによって様々で,充実しているところも結構あるとは思うのですが。ただ,もう少し増やしたほうがいい。
まぁ,そもそもロースクールも詰め込み過ぎなところがあるので,ロースクールの期間自体の問題かも。

修習中は,ロースクールの実務科目で「あ,これはあの先生が言ってたな」というのが結構あります。
ロースクールにおける実務科目は司法試験(本試験)には直結しない部分もありますが,修習にはもろ参考になります。
まぁ現行の司法試験自体のことを考えると,ロースクールの実務科目なんか邪魔でしかないのかもしれませんが。

ロースクール希望する人も毎年減ってるので,2回もロースクールに行った小生としてはなんか残念な気持ちです。
が,ロースクールに行っている方は,実務科目も頑張って欲しいなと思います。合格後にその知識はとても活きていきますので。

ただ,それよりもコミュニケーション能力のほうが弁護士にとって重要だな,と最近改めて思うところです。
次回はそういうこと書きます。

司法修習中に三振合格者の素敵な出会い。の巻

お久しぶりです。

 

にーやんです。

 

今、導入修習の真っただ中です。

とりあえず、すごい楽しいです。

自分の組には様々な人生を歩まれた方がいて、色々と良い出会いができました。

夜は色んな先生や、ローの同期だった70期の人なんかと飲んだり楽しい毎日を送ってます。

 

心配はにーやん(おっさん)の体力だけです。

 

長い間、ロースクールに行ったり働きながら司法試験の勉強したり、結構辛い日々だったけれど、なんか今は本当に受かって良かったなと今さらながらに実感しつつあります。

 

そんな修習生活で驚きの出会いがあった。

にーやんは、すでに三振・再ローで結構知られているかもしれませんが、同じく一度目のロースクールを三振して再ローをしてた同級生がいて、某ロースクールの再ロー受験会場で出会ったきり、その人はどうなったのか気になってました。

そんなときに、偶然、寮の玄関でばったり。

 

オオオオオオオ!!!!!

 

お互いにびっくり

 

10年以上も勉強して、三振した者同士が偶然にも同じ年に合格していたなんて!!!!

 

お互いに「良かったね!」と繰り返してました。

 

素敵な再会でした!

予備合格した受験生の覚悟。の巻

先週、今週と色んな受験生の相談を受けてきました。


時給5000円で家庭教師頼まれました。

小生なんかでいいならいくらでもやってあげたいなぁと。
話をきくと、合格に必要なことをしてないから不合格なんだけれど、予備合格して去年本試験100番台(全てA評価)で合格した友人の話を聞くとやっぱりそれだけのことをやってる。

大学4年の頃が1番頑張っていて、話を聞くと

予備答案を1日5通作成していた!

しかも、70分の論文を50分で書く練習をしていたと。
予備試験目指している受験生のみなさん。
こんだけのことやってますか?
逆に言うと、こんだけやったら合格するということです。

それにしても、本当に努力家だなぁと関心します。
そんな彼が小生みたいな者に、法律のことを相談してくれるので、ありがたいし、俺なんかでいいのかなという感じです。

小生が教えられることは失敗談と法律知識しかないので、それでいいなら受験生のために頑張ろうと思ってます。

こんな自己満足なブログを通じてこういう相談をされるというのもありがたい。自分が思うのはここを見ている人って自分よりも頭良い人ばっかりなので、試験対策を頑張れば必ず合格するということ。

予備試験合格目指している受験生は、是非1日5通を50分で予備答案書いてみてください。
もちろん、答案書くのは準備段階。メインは書いた答案とにらめっこして、合格答案との比較、論点落ちしてないか、趣旨に応えられているか、といった分析。
これをちゃんとやれば確実にみんな受かるはず。
1日5通やれる受験生なんて100人もいないと思いますが(笑)

受験生は小生のようにならないで頑張って下さい。
不合格になった方はにーやんをみてください。その苦しみを10回近く味わってきました。まだ頑張れるはずです。
応援してます!

お勧めの予備校講師。の巻

はいはいはい。

にーやんです。

実は、今週は東京であの「びょうそく」で有名な加藤先生に、合格祝いをして頂きました!
ameblo.jp
小生と違って、加藤先生は人格者だなぁとか、本当に受験生思いだなぁとか、色んな意味ですごい先生だと痛感しました。

きっとこのブログでご迷惑をかけたはずなのですが……(寛大な人ですね)

ブログって自分が思っている以上に色んな人にすごく見られているようで、
某ロースクールの先生からも「チェックします」とか言われたりして、ものすごく萎縮効果発揮なんですが、
それでも、ストレス解消で好き勝手書いているのがこのブログだったりします。

で、こんな好き勝手書いているブログをしてて、加藤先生のように実際にブログを介して知り合った人とリアルでお会いするのは実は2人目!
当時「にーやんの日記」をしているときにも、ロースクール生が小生のブログファンだって言って、なんかのきっかけで一緒に飲みに行こうってなって
実際に会って、色々相談に乗ったりしたことがありました。
なんかこういう出会いがあるとは思わず、好き勝手なことを書いているだけのブログなのに、素敵な出会いがあるもんです。
しかもぶしつけな失礼なこともたくさんあったと思うのですが、加藤先生は本当に懐が深いなぁとか、色々感謝しかありませんでした。
というか、めちゃくちゃ楽しくて、あっという間の時間でした。

長い受験時代を経験した自分も、できれば(ダメな)経験を活かして、「こういうことしてたら俺みたいに不合格を8連発くらいするぞ!」とかそういうことを受験生に教えてあげたいなぁとか思いました。
自分は小学生から高校までまったく勉強してなくて、頭が悪かったので、ただ正しい受験対策をすれば小生のようなアホでも司法試験に受かることができるということを知って欲しいなと。
もちろん、努力はしなければなりませんが、ただ、必要な努力と不必要な努力があって、自分は結構、必要のないことを必死にしていたなと、合格して思うところが結構あります。学説を漁ったり、逆に答案練習しなかったり。まぁこれは一例にすぎなくて、もっとある。

お金があれば、予備校を利用したほうがいいなというのは、そういうやるべきことをきちんと先生が教えてくれることに最大の意味があるなと。
最近だと個別指導とかも結構あるので、そういうのを利用すれば合格のための必要な努力が何かが見えてくるんじゃないかと思います。
まぁ、それも先生によるんですが……

ただ、加藤先生は本当に受験生思いだなぁと。だから、加藤先生の講座を採っている人は結構合格しているのかなとも思いました。
そして、それってすごいことで、小生は10年も無駄に頑張っていて、それを短縮してもらえるのがそういう指導者なんだなぁっていうのを改めて実感したので。すごすぎです。

って、ちょっと誉めすぎですか?
そうかもしれませんが、他にそこまで実践して結果を出している先生は、谷山先生や西口先生くらいしかしらないので、本当にすごいなぁというのが正直な気持ち。
自分もこういう先生みたいに指南役くらいにはなりたいなぁとか思うのです。小生のようにしなくていい努力はすべきじゃなく、必要な努力をしてすぐに受かったほうがいいし、正しい努力をすれば合格できる試験なんだということを知ってほしいなと。
でも、これは結果として合格できたから、
「あ、こんな程度でいいんだな司法試験は」
と思えたという実感があるから、今はそう思うだけで、受験生時代は、司法試験は超難しい難関試験で、無数の知識を押えて、しかも論文テクニックも完璧に押えないと、絶対に合格できないみたいに思っていました。
「合格」というレベルでは、そんな大したことはないという部分もあって、ただ、点数の取り方とかは把握しておかないとなかなか合格答案にならないとかはある。けれど、押えるべき点は限られているので、あとは演習で慣れるというのが大切。

この前、ロースクールの授業でちょっとした講演みたいなことをしたときでも感じたことは、意外に答案練習をしている人が少ないということ。
そして、答案練習をきちんとこなしている人はほとんどが論文で成功して、きちんと合格しているということ。

今のところ、これはやるかやらないかなので、やっている人から受かっている感じがします。
もちろん、ただ論文を書くだけではなく、解説や模範答案を比較して、出題趣旨に照らして①書くべき点をちゃんと書けているのか?②書くことが望ましいところはどうか?③書ければいい評価という部分に少なくとも気がついたか?
なんてことをチェックしつつ、少なくとも①ができてなかったら、基本書から確認して、なぜ気がつかなかったかとか原因を追及して、原因がわかれば対策も講じれるので、こういう作業をしている受験生って本当に少ないなぁという感じがしました。

予備校の先生は、多くの受験生の答案をみているので、そういうことをよく理解しているので、そういう先生を利用したほうが合格に近づけると思うし、すごく熱心に受験生のために教えてくれる。
あ、予備校の先生がみんなそうかは知りませんが、少なくとも加藤先生はそんな感じだなと直感的に勝手に感じました(個人の見解です笑)。

教科書と同じで、自分の勉強スタイルに合わせて、良い先生というのも人それぞれだと思うので、お金に余裕のある人は色々試した方が合格に近づくと思います。
今はYouTubeとかサンプル講義みたいなのも結構あると思うので、今年不合格だった人はそういうのも利用して、素早く弱点を克服することをお勧めします。
こういうのは、試験対策の時間短縮の手段なんで。きっと基本書で弱点を克服しようとすれば、多くの人は5倍くらい時間がかかったりするので。もちろん、1人でできるにこしたことはありませんし、できるなら利用しないでいいですが。

というのも、自分がこれまで予備校をほとんど利用しなかったので、改めてそう思うところです。まぁお金もなかったので、小生の場合、やむをえないのですが。

加藤先生とたまたまこのブログをきっかけにそういうことを考える契機にもなったというのも、ブログをしていて本当によかったなぁと思いました。
こんなひどい自○行為的なブログなのに(笑)

でも、正直な気持ちをここで書いて、それに対して、疑問に思ってくれる人、参考にしてくれる人、まぁ人それぞれ色んな感想を持っていただけること自体、このブログも少しは価値があるかもしれないなと思えたのは良かった。

人と人のつながりって、本当にこのグローバル社会の恩恵を受けられて、ありがたいと切実に感じました。
加藤先生ありがと!

台風でも選挙は行こう!の巻

まいどです。

にーやんです

今週は怒濤の1週間でした(汗)
大阪で1つ目のロースクールの友だち(弁護士5~7年目)にお祝いして頂いたり、ローの先生に話の流れで自分の体験談をお話しにロースクールに行ったり、たくさんのことを経験した1週間でした。
この1カ月でめっちゃデブに(汗)

今日は選挙だったし、色々、書きたいこともあるけれど、明日からまた朝から名古屋、東京と忙しい。
体力の衰えを実感しているところ。

選挙も大変やったね。台風やったし。小生は期日前投票だったけれど。
そういえば、立憲民主党が予想以上に伸びてて、民主党民進党のような雑種的な集団ではなく良い意味でリベラルに純化した政党として国民の期待が大きかったのかなと思いました(自分は立憲民主党を支持しなかったけれど)。
dot.asahi.com
維新や希望は、自民党に近いものとして真の野党とはいえないと思った人がいたのかもしれない。
とはいえ、結局、自民党が前回同様の大勝利だったということは、自民党に対抗できる野党がなくて、野党はしょぼいということを意味しているのかもしれない。
野党は人格攻撃や文句だけではなく、より良い政策・代替案を出すみたいなことをしてほしいなぁ。

そうそう、期日前投票で知ったのだけれど、「支持政党なし」という政党があって、ニュースでは聞いていたけれど、本当に酷い。
完全に詐欺師のような票の取り方ですやん(汗)

なんかそういうこととか、色々と考えてて、書きたいことたくさんあるんだけど、今日は寝ます。

ロースクールの選び方。の巻

元気ですか?

にーやんです

今日は、再ローを考えている人の参考として、ロースクールの教員についての個人的な感想を書こうかなと。
というのも、ロースクールを二回行った小生の実感として、やっぱりロースクールによって教育環境が違ってて、試験勉強のしやすさとか色々と、これからロースクールに行く人にとって参考になることもあるかもしれないので(ないかもしれない)。

小生の経験上、ロースクールの教員の中でも、特に司法試験の委員をやってた人は、どこのロースクールでも概ね人気。
例外的にたまにそうじゃないパターンもあるかもしれないけれど、それは相当教え方が下手なんだろう(自分の経験ではそういう先生はいなかった)。
司法試験委員やってた人はただ知識があるだけではなく、出題のポイントなんかも熟知しているから、どういう部分が重要とされるのかっていう傾向もたぶんよくわかってて、だから受験生の求めるものと一致するのは必然。
きっとそういう理由もあって、人気なんだろう。

というわけで、ロースクールに行くなら、司法試験委員(経験者)が多いところが絶対にいい。

中央なんかは東大学者が定年を経て集まってるのもあって、いい先生がそろっているんじゃないかなぁ?
近年では刑法の大家、井田先生(イケメン)がいるし、最高でしょう。
小生はずっと前田結果無価値で勉強して、最近、山口先生の基本書や橋爪先生、佐伯先生なんかの法教連載を読むくらいで、まだまだ井田学説をマスターしていないので、また勉強しようかなと。

脱線しますが、最近、中古の学者本を買いあさるのが趣味で(こんなことしてるからなかなか受からなかったんだろう)、論点講義シリーズの刑法各論を購入。ケーススタディ刑法も。
両書ともケースメソッドで、抽象的な議論が多い部分も具体例を通じて理解できるので、試験対策にも有効だろうなと。

刑法各論 第2版 (新・論点講義シリーズ 2)

刑法各論 第2版 (新・論点講義シリーズ 2)

ケーススタディ刑法 第4版

ケーススタディ刑法 第4版

そういえば、井田先生が法学教室で連載していた「ゼロからスタート大刑法 “超” 入門講義」は結構読んでて、これが「入門」と言っているけれども、めちゃくちゃ参考になる!
今は書籍化されて「入門刑法学」となって出版されているけれど、超おすすめ。初学者だけではなく、中上級にも参考になることがいっぱい。
しかも、書籍化にあたって法教の叙述と異なる部分もあり、かなり工夫されたんだろうなということもうかがえます。

入門刑法学・総論 (法学教室ライブラリィ)

入門刑法学・総論 (法学教室ライブラリィ)

入門刑法学・各論 (法学教室ライブラリィ)

入門刑法学・各論 (法学教室ライブラリィ)


おっと閑話休題

あと、やっぱり実務家教員が充実しているところに行ったほうが良い。
司法試験を合格しており、試験対策という視点から教えるので、やはり受験生の求めるものと一致する。

二回目のロースクールで、一回目よりも実務家教員が充実していたのは良かったと思いました。
中には受験生よりも試験対策している教員もいて、さすがだなと関心しました。
その先生は過去問を時間を計ってちゃんと答案作成したりしてました。教員があの苦労を理解しているというのは、かなり大きいんでしょう。試験の感覚からどう書くべきかということを意識してました。

また脱線ですが、ロースクールが崩壊の危機とか言われたりする昨今、ロースクール制度がダメというのはちょっと違うんじゃないかと思います。
法曹を養成するための教育に特化してきちんとやっているところはやはり合格率も良いし、そのことをちゃんと理解できているロースクールは法曹を目指す者にとって素晴らしい教育環境です(まぁ2~3年でそれをやり遂げるのはなかなか難しいと思うけれど……)。
ロースクールが始まって三期の既修で一回目のロー生活をした経験から言えば、法曹を養成する、実務家にとって必要なことを教える、そういったことが教員の意識としてまだまだ希薄だった教員もいました。
学部と法科大学院では、法律を教えるといっても、その実質はまったく違うということです。
法学研究科の修士課程も行っていた小生はそのことはとても実感しました。
中央大学の実務家出身の憲法学者である棟居先生の「学説はゴミ、判例は神」という言葉が象徴しているように(まぁ言い過ぎと思いますが笑)、研究者は判例を批判の対象と捉える傾向があった。
司法試験は学者を養成する試験ではないので、超偉い先生の提唱する有力説を知っているかどうかは問題じゃないし、それで合否が分かれることはない(もちろんそういう偉い先生の考えが司法試験で参考にはなることも少なくない)。
今の司法試験の問題を合格者レベルで解けるようにするには、まず判例・通説。そして、要件の的確な当てはめ(加えて、答案の書き方なんかもあるが、それは自分自身で確立するものだと思う)。
主要論点において、そういうことを教えるだけでもロースクールの授業だけでは時間が足りないのが現状だろう。
ましてや、学者の自説(1人説)を唱えている暇はない。

もっとも、本来の大学という機関は研究機関であって、従来からある修士・博士課程なんかがそう。法学部も同様に本来は研究者を養成するためのもの。
研究においては、必然的に学者の論文や個々の考え方の当否を検討することが中心になる。
判例はその土台。問題提起のきっかけに過ぎないとみる学者が一昔前では普通だったんじゃなぁ。

ただ、ロースクールが始まって、法学者も判例・実務を批判対象だけではなく、その価値を重視しだしたんじゃないかなと。
もちろん、これまでも判例を無視してたわけじゃなく、むしろ刑事系なんかは判例の考え方を重視してた部分も大きい。

この変化が顕著なのは憲法だろう。
昔の主要判例も「今までの理解おかしくね?読み方ちがくね?」のような。森林法違憲判決のあれとか。

何が言いたいのかというと、ロースクールによっては、旧態依然の法学部の延長で教えていた学者もいたということ。そしてそれは、司法試験対策という観点からは有害になることもある。
というのも、実務家はやっぱり法律という明確な絶対的なルールに従う。そして、学説がなんと言おうとも、それが最高裁判例に反するものはまず相手にしない。
というと、少数説で頑張る先生には、「将来変更される可能性がある!」と鼻息を荒げて顔真っ赤にする先生もいました。まったくもってその通りです。
特に近年の違憲判決に顕著で、例えば女性の再婚禁止期間の違憲判決なんかはこれまで憲法民法双方の学者から判例批判されてきたもので、まったくもって正当な主張だった。

ただ、判例変更のような実務において超例外的なことは司法試験に合格してから考える最先端な問題(上述の再婚禁止期間のように従来から判例と通説が対立している問題もあるけれど)。司法試験合格のさらに上のレベルなんじゃないかなと。
やはり、判例ルールが確立してたりすると、それで実務だったりして、そこを理解できていないのは話にならないだろう。
いくらローマ法からの意思表示理論は間違いで、二元説を採用する動機の錯誤がおかしいとか言っても、相手にされない(個人的には二元説に対する批判の多くが適切なものだと思うが)。
完全に確立しちゃってて、判例変更することなく問題なく実務は運用されているから。

そういう論点に関しては、やはり判例のルールを教えるのが実務家登用試験に合格できるように教育するロースクールの先生の第1の役割なんだろうなと。
判例の立場が明確じゃないものも少なくない。そこで出てくるのが通説の理解。
司法試験も、判例・通説に従って解くように作られているのはそういうことなんじゃないかと。

刑法の問題で、現行刑法においては共謀共同正犯の理論を採用することは罪刑法定主義の見地からできない、なんてことを書いちゃうと、もう当てはめの点数は皆無。もうボロボロ。
関西にはまだまだ根強い共謀共同正犯否定論?
学者の頭ではきっと正しい考えだろうし、条文からすると素直かもしれない。
だからといって、そういうことをロースクールでお勧めしちゃうと、特に未修の人はかなり可哀想なことになってしまう。
さすがにロースクールでそういう先生はいない(少なくとも自分が教えてもらった先生は)。

具体的事実の錯誤でも、判例は法定符合説が確立しているけれど、学説では具体的符合説が極めて有力。
具体的符合説の考え方は参考になるし、教えるべきではないとは決して思いません。
しかし、法定符合説からなる判例の立場をしっかりと理解した上で、または理解するために具体的符合説の考え方は参考にとどめるべき。
というのも、具体的符合説でも事案によっては符合を認める立場と認めない立場があって、そういう面倒くさいことも含めてきちんと理解しておかないと、答案でかなり適当な当てはめになりかねないから。
そして、そういう面倒なことを分量を割いて論じたところで点数に差は生じないので、試験対策的にメリットなし。

実際、一回目のロースクールでは偉い先生が具体的符合説を推していて、未修の人はその先生に教わり、その先生の教科書を使って勉強していたため、まじめで優秀な未修の人ほど具体的符合説を自説としていました。
繰り返しますが、それが絶対にダメということではありません。判例を理解した上で、時間的余裕のない刑法で具体的符合説に立って説得的に書ける自信があれば、まったく問題ないでしょう。
ただ、全科目そういうことやってたら、勉強時間がいくらあっても足りないんじゃないかなと、小生のような凡人は思うわけです。
答案もうまく当てはめできるのだろうかと。

そういう努力よりも、判例の立場を前提として、限界事例を考えたり、射程を考えたりしたほうが、実務家登用試験の対策としては意義ある勉強かなと。
確立した判例があるのに、それに反する学説を言い出して問題を解決しようとするのは、なんか問題を正面から解決しないで逃げてるような感じもします。
研究者も一時期考えていた小生にとっては、そういう考え・学説の重要性は否定しませんが、やっぱり実務において使えるものでなければ無意味かなとも思うようになりました。
例えば、山中敬一先生の客観的帰属論。いや、これ以上はやめておこう。
ちなみに、山中先生のぶっとい刑法総論と「刑法における客観的帰属の理論」は因果関係に関する部分をざっと読みました。きっついです。類型化は手段であって、目的ではな……いや、これ以上はやめとこう。

刑法って実は奥が深いため、司法試験の対策としてはある程度割り切ることが必要な科目。
残念ながら学問としては深入りしないのが司法試験対策のポイントだったりする。

そう考えると、刑法の先生はロースクールの授業はあまりおもしろくないかも(汗)

まぁ以上をまとめると、やっぱり上位ローの試験委員(経験者含む)の多いロースクールを目指すのが無難だなと。
奨学金目当てで下位ローに再ローで行って合格した人も知っているので、経済面も考える人もいると思いますが、合格だけを目的とするなら、やっぱり一橋!そして、東大、京大。私立だと、慶應、早稲田、中央といったところが良いロースクールだと思います。

小生のような再ロー生も最近では少なくないと思うので、参考になれば幸いです。