にーやんのブログ

三振したにーやんが再ローを経て司法試験に合格した弁護士の物語である

時間がなくてもやれる司法試験対策。の巻

まいどでーす。

修習真っ只中のにーやんでーす。

色々書きたいことはあったのですが,本当に日々忙しいです。
修習よりも,その後の付き合いのほうが忙しい感じです。



司法試験がもうすぐですね。
去年,小生は合格したわけですが,そんな小生はこの時期でも必死に働いてたりして,なかなか試験勉強できてませんでした。

そんな小生が,試験直前期に最後に何をしたのか?

ぶっちゃけほとんど何もできませんでした。
働きながら予備試験を受験する人も似たような状況かもしれません。

まぁ予備試験はまず択一だけなので,予備試験受ける人はこの択一を法律科目だけで合格できるレベルまで盛っていくことが先決です。

問題は論文。
去年の小生は,年明けから法学教室の演習問題をやるくらい。
あと,何をしてたか?
文字を綺麗に書く練習とかしてました。1日1時間くらい(多くの人に字が汚いのが原因じゃないかと指摘されたため)。

当たり前ですが,限られた時間でできることは限られてます。

最後,本試験でこれだけは守ろうって意識してたことがあります。


「法律家に伝わる文章を書こう!」


よく,

「答案は採点者に対するラブレターだと思え!」

とか言われることがあります。
小生が字が書く練習してたのも伝わる文章を書くため。

法律文書って,法的三段論法で論理的に書かれている文書であるので,その内容を伝えるには,
① 大前提であるルールを理解していることを示すこと。
ここで言う「ルール」というのは,要するに要件と効果のこと。
要件に該当する事実がどういうものかを,要件の意義を示して理解していることを答案に示す。
もちろん,必要があればだけども,そこでの要件が明らかでなければ,判例・通説の立場に立って,その意味を示す。ここは,解釈論。
② 小前提を的確に摘示する。
要件の意味を明らかにしたら,それに該当する事実を摘示する。
訴訟法的には,直接事実と間接事実が問題文にはあって,それらをちゃんと摘示して,間接事実であれば推認できる直接事実と合わせてきちんと書く。
この作業をするには,要件事実が何かを理解しないとダメなのは当たり前。
③ 当てはめ,結論を示す
摘示した事実がどの要件に該当し,どのような法律効果がそれによって発生するのか。法規範から結論を示す。


以上の作業を,わかりやすく,かつ,正確に文章化するってことだけを意識する。
司法試験の問題は刑事,民事,公法系と,色んな分野から色んな問題が出るわけですが,以上のような作業は共通する。
司法試験では,無駄な記述を極力しないように問題文はまとめられているので,そこで示されている問題文の意味をきちんと把握することが重要。
まぁ,司法試験の問題では論点が出るので,その論点,特にメイン論点に気がつくことも重要で,その論点との関係で事実をどう評価するのかということが書ければ十分に合格答案になるんじゃないかなと思います。

司法修習では,民事も刑事も事実認定が結構重要視されていて,事実認定のための証拠構造なんてのを考えさせられたりします。
民事ではとりあえず出せばいいやって感じがあって,自由度は高い。弁論準備手続中でも主張出し合いながらも証拠だすとか。
ただ,刑事で公判前整理手続やってたり,特に裁判員裁判の場合は証拠がより厳選されたりして,事実認定に必要な証拠も限られる。

最近は事実認定という点では,基本的には民事も刑事もそのやり方自体は異ならないのであるから,事実認定の理論もきちんと整合させればいいのになということ。
例えば,規範的要件。
民事でも,刑事でも,「過失」っていう概念がある。
民事法における「過失」の有無の判断はどうするのか?

それは,「過失があること」が要件ならば,過失の評価根拠事実と評価障害事実との総合判断。
刑事では,こういう判断方法を記載したものは寡聞にして存じ上げない。
他方,過失犯の訴因事実としては,以下の内容が記載されるとされる。
① 注意義務の発生の根拠となる具体的事実
② 注意義務の内容
③ 注意義務違反の具体的行為(過失の態様)
これは,民事でも同様に思う。具体的な注意義務違反を主張するには,その注意義務の内容を明らかにしなければならないし,そのためにはその注意義務があることを基礎づける事実として①の事実は当然に必要になる。

ところで,このような規範的要件,法律概念が問題となる場合の直接事実と間接事実というのはなんだろうか?
民事では,過失の評価根拠事実が直接事実ということで,間接事実を観念できないというようなことも言われることがあるけれど,ある評価根拠事実のA事実というのがあって,そのA事実の存在を推認させるB事実というのがあるとすると,そのB事実も評価根拠事実であるといえるが,A事実の間接事実と評価するのか,単に過失の評価根拠事実たる直接事実となるのかいまいちわからない。
色々と文献も読んでみたけれど,この部分をはっきり断言しているものは少ない。調べた限りでは,間接事実は観念できない感じだった。

では,刑事ではどうか?
例えば,共謀共同正犯の「共謀」という事実は?
実務では,ここでいう「共謀」とは,①意思の連絡と②正犯意思の二つから検討する(個人的には①のみを共謀と位置付けて,正犯意思は正犯性の判断基準として共謀とは別要件と理解したほうがいいかと思うけれど,そこは置いておく)。
①意思の連絡というのは,特定の犯罪を共同遂行することの合意を意味する。
②正犯意思というのは,要するに自己の犯罪とする意思があるかどうかの問題。
なんとなく②は法的概念かなとか思ってたけれど,「正犯意思」というのが正犯性判断の基準とする主観説でも,重要な役割が正犯意思を推認する重要な間接事実となるとか言われてて,なるほど,犯人が共犯者の行為を自己の犯罪として行う意思があるとかいう旨の供述は直接事実と位置付けられる。故意犯の自白同様に。
ただ,正犯意思があるかどうかは結局,そういった事実を前提に「自己の犯罪とする意思」があったかどうかという法的評価をする必要がある。
まぁ,殺意の認定も結局,未必の故意ではそういう法的評価が必要になるのかもしれない。凶器や創傷に関する認識で最後は総合評価だったりするし。

最近は,強制わいせつ罪のわいせつ傾向が主観的要件として常に必要とするのはおかしいということで最高裁判例が変更したりして,そこでもじゃあわいせつ性の認識の有無はどう判断すんのかとかちょっと難しい議論があったりするけれど,まぁ話を戻すと,そういった法的判断をする上でわいせつ性の認識の直接事実が何で,間接事実は何なのかとか。これは簡単かもしれないけれど,過失の有無や正当防衛における急迫性の有無なんかの法的評価を必要とする概念の直接事実や間接事実なんかは結構難しいな,混乱するなとか最近悩むことがあった。

まぁいいや。司法試験的には,そんなこと理解できてなくても十分合格答案は書けるし。
ただ,実務では,要証事実を立証するための証拠構造ってのがすごく大事で,証拠をどう用意して,その証拠をどのように認定して,どのような事実を導くのか。特に人証の場合は証人尋問で出てくる証言が当然大事だけれど,信用性も問題になったりするわけで,なかなか悩ましい。

最後は司法試験にはまったく有用でない,むしろ混乱させるような内容だったので,参考になる書籍なんかがあれば教えてください(汗)
刑事手続における規範的要件の事実認定,特に直接事実と間接事実との関係について書かれているものってあるんですかね?そもそもそんなのいらない?

どうでもいっか(笑)

とにかく,司法試験では,採点者に伝わる答案を書くことを意識してください。
で,採点者っていうのは,実務家と学者なんで,両者の共通認識である判例・通説で答案を作成すれば伝わります。
あとは文章力ですが,接続詞を意識して,上述の法的三段論法で糞つまらない当たり前のことだけ書きましょう。面白楽しい小説のような文章力は無用というか,司法試験ではむしろ有害なんで。それよりも,メイン論点を中心に多くの事項に触れるのが点数アップにつながるポイント。これやるだけで数点アップですわ。
これは意識するだけでできる部分もあるので,答案を作成する練習でもこういったことを意識してやると答案の出来具合も変ってくるかも。

ということで,小生も起案頑張ります。