にーやんのブログ

三振したにーやんが再ローを経て司法試験に合格した物語である

関ジャニ∞のコンサートチケットを盗んだ者からチケットを取り戻しても無罪?の巻

まいどでーす。

にーやんです。

いきなりですが、小生は法学教室が好きです。

各記事が長くても10ページくらいというのもあるけれど、難しい内容でも法学教室なら読みやすいと感じるのは小生だけでしょうか?

まぁいいや。

デデン!!
問題です。
■問題1

関ジャニ∞が東京ドームでのコンサートを直前に控えた段階で、そのチケット有するAからXがチケットを窃取した。この事情を知っているYが、Xから10万円支払ってそのチケットをゲットした。X及びYの罪責を述べよ。

正解は、Xは窃盗罪、Yは盗品等有償譲受け罪。

では、次の問題
■問題2

関ジャニ∞が東京ドームでのコンサートを直前に控えた段階で、そのチケット有するAからXがチケットを窃取した。被害者Aは、Bを介してXから10万円支払ってそのチケットを取り戻した。Aの罪責を述べよ。

法学教室で連載の橋爪先生の「刑法各論の悩みどころ」でこの問題について触れられていた。
法教443号108頁には以下のように書かれている。

 この点については,やはり被害者本人による取戻行為は,いかなる場合であっても盗品等関与罪を構成しないという理解から出発せざるを得ないと思われる。(問題2の)場合,被害者の意思決定は自由で任意な判断とはいえないし,犯人グループが暴利をむさぼっていることも否定できない。しかし,被害者自らが10万円を支払って,チケットを取り戻す行為は,盗品等関与罪を構成することはない。これは被害者の同意の問題として解決すべきではなく,被害者はおよそ盗品等関与罪の主体たり得ないという構成要件解釈の問題として理解すべきであろう。

被害者の追求権を保護法益と考えると、追求権を侵害しない、つまり法益侵害のない被害者による取戻し行為について盗品関与罪は成立しない。
ということで、Aは無罪。
盗品等関与罪において刑法242条は準用されていないので、法は被害者自身による取戻し行為としてなされた譲受等は無罪ということを前提としているといえるかもしれない。

では、問題2において、AがBにXからチケットを取り返す旨を依頼して、Bが10万円支払ってチケットをXから取り戻してもらった場合、Bはどうなるか?
この点については、次のように指摘されている。

 そして,被害者が不可罰である以上,被害者からの依頼を受けて,もっぱら被害者のために行為する第三者についても,被害者の不可罰性が拡張的に援用されて,盗品等関与罪については不可罰にとどまると解する余地があるように思われる。具体的には,被害者からの委託を受けて,被害者の具体的意思の範囲内で行動する場合については,対価の支払いの有無に関わらず,盗品等関与罪の成立が否定されるべきであろう。昭和27年判例が「被害者のため」か「窃盗犯人の利益のため」かを問題にしていることも,このような観点から解釈する余地があるように思われる。

以上からすると、被害者ではないBが10万円支払ってチケットをXから取り戻すという有償譲受け行為をしても、Bには盗品等有償譲受け罪は成立しないという解釈の余地がある。
被害者に返還するためになされた有償処分のあっせん行為について有罪とした最決平成14・7・1刑集56巻6号265頁との整合性についても参考になることが書かれているので、気になる人は法教443号を見てね。

盗品関与罪は保護法益について争いがあるけど、その論証をただ暗記してるだけじゃ使えない。
橋爪先生のこの記事は、保護法益が問題となるケースでどう論じればいいかという点で参考になる。
直接これが司法試験に出るかは置いておいて、司法試験で問われるような新しい問題について、どう考えてどう論じればいいのかっていう点で法学教室の記事は参考になるなと。

要件事実演習とかやってくれへんかなぁ。司法修習生や予備試験受験生にも需要ありそうやし。

そういえば、ずっと裁判官やってた加藤新太郎先生の演習はかなり勉強になる。
民訴はやっぱり事例とともに押えるほうがいい。加藤先生の問題は基本問題ばっかりで、解説も判例・通説の立場を踏まえつつ基本的な事項を確認できるので。

そういえば、通勤中の電車で法学教室の演習問題を読んで、頭の中で答案構成するといったことを試験前にやってた。

法学教室の演習は2ページでまとまっているので、時間のない人はおすすめ。