にーやんのブログ

三振したにーやんが再ローを経て司法試験に合格した弁護士の物語である

改正債権法の債権者代位権は中途半端?の巻

にーやんです。

最近、労働法や倒産法の勉強をしてます。
岡口先生の要件事実の問題集もやりたいなぁと思っているところですが、なかなかそこまでできてません。

久しぶりに会社法にも接していまして、結構知識が抜けてるなぁと反省中。
しっかり体系的に理解するというのが重要だなと再認識。
まぁ会社法って政策的な部分が大きく、これまでの法制と真逆のことが制度化されたりする。自己株式とか。
そういうのもあって、民法ほど原理・原則、主義、思想が徹底されているわけではない。
とはいえ、改正民法も従来の考え方を変更する部分もある。意思表示の錯誤は「無効」ではなく「取消し」とか。
もっとも、ローマ法時代の心理学的分析による意思表示理論はすでに10年以上前のドイツでも採用されなくなっているので、今までの民法が古すぎたというのもあるので、理論面が進化したということもできるかもしれない。

しかし、改正民法でわけわからないのは、債権者代位権
これも改正された部分があるのだけれど、超重要だと思う「制度趣旨」については曖昧なまま放置!
民法の偉い先生と飲みに行ったときにも「中途半端!」とか言ってました。
何が中途半端かというと、債権者代位権行使と相殺の関係。

金銭債権を有する債権者が債権者代位権に基づき債務者の金銭債権を差し押さえて相殺することができるか?
判例は「できる」というのだけれど、債権者平等の原則との関係では説明しづらい。
債権者代位権は債権者平等の原則のための責任財産保全のための制度」という考えからすると、相殺を認めるとその分について債権回収した状態と同じとなり、これでは責任財産保全にならず、むしろ権利行使者の先取りを認めることのにってしまう。責任財産保全を重視するのであれば、相殺は認められないということになる。

ロースクールでは改正の委員会にいた先生の授業で、改正経緯についても勉強して、別の民法の先生とも話を聞いたところ、要するに「判例を条文化する限度で改正しよ」という結論に至ったよう。
委員会では学者や省庁の公務員、弁護士などがそれぞれの立場から意見を戦わせるわけだけれど、全委員一致じゃないと条文化にならないというルールがあるようで、そういうのも中途半端な原因なのだろう。
逆に、訴訟上の問題との関係で、これまで代位権行使の通知が債務者に到達した後は管理処分権を失う結果、被代位債権について権利行使できないと解されていた(判例)。
ところが、改正法ではこれとは真逆で債務者による被代位債権の権利行使は認められることとなった。代位権を行使した債権者は債務者に訴訟告知義務も課されており、債務者は訴訟参加できるということになるのだろうが、これまでは債務者は管理処分権がなくなり、代位債権者は法定訴訟担当という構成で既判力が債務者に及んでいたが、この点はどうなるのか?株主代表訴訟と同じような感じになるのかな?

たこの点についても、時間があれば調べようっと。