にーやんのブログ

三振したにーやんが再ローを経て司法試験に合格した弁護士の物語である

H29刑事系第2問(刑訴法)の論文のにーやんの再現答案

まいどでーす

にーやんでっす。

なんか一時期閉鎖していたにもかかわらず、にーやんのブログを見てくれる人が結構いてくれてありがとうございました。
叱咤激励のメッセージ送ってくれた人もありがとうございました。

ずっと再現答案作ってて、ほぼ完成しました。

今日は、「刑訴簡単だったけれど、にーやんはどう書いたか教えてほしい」とのコメントを頂いたので、にーやんの再現をさらそうかと思います。

ただ、まったく自信はない。
個人的にはできたほうだと思うけれど、こんな単純な答案でいいのかなという不安がいっぱいです。

あの問題文みたら、典型論点ばかりで、書くことは決まってる。
答案構成は15分で終了。
でも、そんな不安があって、なんか落としてる論点あるのかと思って、結果20分くらい検討しました。
残り100分で8枚フルまで書き切りました。
書くこと決まってて明確に覚えているので、再現率はかなり高いと思います。
まぁ実際の答案では再現より良い部分はあまりないと思うので、2割引きくらいの答案と思ってみてもらえればちょうどいいかもしれません。
今でも落とした論点あるんじゃないかと疑心暗鬼なので、参考になるかはわかりませんが、一つの答案として参考にしてもらえればと思います。

注:成績はAでした。

設問1
第1 捜査①の適法性
 1 令状の事前呈示
⑴ 捜査①では、甲方の捜索差押許可状(以下、「本件令状」という)を呈示する前に甲方に侵入している。そこで、令状の呈示を要求する刑事訴訟法(以下、省略)222条1項が準用する110条に違反しないか。
  令状呈示の趣旨は、手続の公正を担保するとともに、処分を受ける者の人権に配慮することにある。
  したがって、原則として、令状呈示は処分(立入りを含む)の着手前に行われるべきである。
  もっとも、令状の事前呈示は憲法憲法33条、35条)上の要請ではなく、処分の目的達成に支障が生じるやむを得ない事情から、処分の実効性確保に必要な措置が短時間先行したとしても、その直後に令状が呈示されることにより手続全体として、令状呈示の趣旨が実質的に確保されているといえる限り、適法と解する。
⑵ 本件は覚せい剤事犯であり、差し押さえるべき対象の覚せい剤は水に溶けやすいため、証拠隠滅が容易である。
  また、甲は来客の際は常にドアチェーンをかけた状態で対応しており、捜査機関による捜査を警戒していたものと解される。
  さらに、甲は覚せい剤取締法違反の前科があり、それにもかかわらず同種事案の犯行に及んでいることからすると、捜査機関による捜索を回避する何らかの準備をしている可能性も否定できない。
   以上から、甲が差し押さえるべき対象である覚せい剤等の証拠を確実に確保するためには、まず現場を確保する必要があるといえ、事前に令状を呈示するやむを得ない事情があったといえる。そして、現場を確保した直後に本件令状は呈示されており、令状呈示の趣旨は実質的に確保されているといえる。
⑶ よって、甲方進入後における本件令状の事後呈示は適法と解する。
2 「必要な処分」の該当性
⑴ 捜査①は甲宅のベランダを乗り越え、窓ガラスを割って開錠して甲方に侵入している。そこで、これが、本件令状に基づく捜索差押えの「必要な処分」(222条1項・111条1項)として適法かが問題となる。
  捜索差押えの執行において「必要な処分」が認められている趣旨は、その円滑な執行を確保し、捜索・差押えの目的を十全に達成させようとするところにある。したがって、捜索差押えの目的達成のため、捜索差押えの実効性を確保するために必要で、社会通念上相当な態様と認められるものと解する。
⑵ 上述(1⑵)のとおり、甲において差し押さえるべき対象である覚せい剤の証拠隠滅のために甲に気づかれないように現場を確保する必要性があったといえる。
  もっとも、甲方の現場を確保する手段としてはドアチェーンを切断する方法も考えられ、この方法による方が法益侵害を最小限度にできるとも思える。しかし、ドアチェーンを常にかけて客の対応をしていたことからすると、捜査機関による来訪に気がついた時点でドア自体開けることなく、覚せい剤をトイレに流すなどして証拠隠滅を図ることも考えられる。そうすると、ドアチェーンの切断という方法は必ずしも成功するとは限らず、有効な手段とはいえない。
  以上のような事情に照らすと、甲に気づかれずに侵入する手段としてベランダから窓ガラスを割って侵入するという方法は、相当なものといえる。
⑶ よって、捜査①は「必要な処分」として適法と解する。
第2 捜査②の適法性
 1 本件令状に基づく執行
⑴ 捜査②は乙の所持するバッグを捜索している。これが、本件令状に基づく捜索として適法かが問題となる。
  本件令状は、甲方を捜索場所とする場所の令状である。法は令状に記載すべき捜索の対象を「場所」、「身体」、「物」と区別(219条1項、222条1項・102条)した趣旨は、それぞれが保護される法益を有していることから、令状でこれを特定することにより(107条1項・219条1項)、法益侵害を限定するところにある。したがって、場所の令状で第三者の物という場所とは別の法益を侵害する行為は、別途令状が必要とするのが原則であると解する。
  もっとも、捜索場所に置かれた物については、場所に関して保護されるべき権利に包摂されているといえる。それゆえ、捜索場所に置かれていた物である限り、その物も場所に含まれるというべきである。
  したがって、捜索場所に居合わせた人がそこに置かれていた物を手にしたとしても、その場所に対する捜索令状に基づき捜索できると解する。
⑵ 乙は甲方において甲の同居人であり、乙が所持するバッグはすでに甲方に存在していた蓋然性が高い。また、乙は「私のもの」というにとどまり、それ以上にバッグの確認を拒否する明確な理由はなく、同居の内縁の妻である乙が甲と共犯関係にある可能性もあることからすると、乙の所持するバッグはすでに甲方にあったものであり、しかもその中には被疑事実に関連する物が存在する蓋然性は高いといえる。
⑶ 以上から、乙の所持するバッグは本件令状の効力が及ぶ範囲といえ、本件令状に基づいて捜索することができると解する。
第3 捜査③の適法性
 1 本件令状に基づく執行
⑴ まず、本件令状に基づく執行として適法といえるかが問題となる。
 ア この点、丙は甲の知り合いと解されるが、甲の同居人ではなく、甲にとっての第三者といえる。したがって、甲のポケットを捜索する行為は、甲の身体の捜索といえ、本件令状がこのような第三者の身体をも想定していたということはできない。
 イ よって、丙のポケットを捜索する行為は本件令状の効力の範囲外であると解すべきである。
⑵ では、「必要な処分」として適法といえるか。
 ア この点、本件令状においても、捜索場所にもともと存在した差押目的物の身体への隠匿を現認したり、その高度の疑いがあるときに、これを原状に復す捜索差押の実施に「必要な処分」(111条)を行うことができると解する。
 イ 本件では、甲方に侵入後、丙はズボンのポケットに手を入れていたところ、これ自体は不自然のものではなく、甲方にあった物を隠匿したということはできない。また、ポケットを気にする素振りや、落ち着きがない様子が見受けられるものの、警察の捜索差押えの現場にたまたま立ち会った第三者であれば、何らかの不安を感じてこのような挙動をすることはむしろ自然といえる。
   もっとも、Qがポケットの内容物について質問をしたのに対して、丙は応えず、Qが「待ちなさい」と停止を求めたにもかかわらず、トイレに入ろうとしていることから、ポケットの物をトイレに流そうとしていたとも考えられ、甲と知り合いである丙においてはそれが覚せい剤の可能性が高いといえる。
   しかし、以上を前提としてもそれはQ個人が甲と無関係に所持する覚せい剤の可能性もあるため、この事実をもって甲方にある物を隠匿したとまで断言することはできない。
 ウ 以上から、丙が甲方の物を隠匿したとまでいうことはできないから、捜査③のように丙の意思に反して強制的に丙の身体を捜索することは、本件令状の「必要な処分」ということはできず、違法な捜索であると解する。
⑶ よって、捜査③は違法である。
設問2
第1 小問1
 1 証拠1
⑴ Sが証拠1の取調べ請求をした理由は、甲証言の証明力を争うため
であり、これは328条に基づく請求と解される。
  328条により許容される証拠は、現に証明力を争おうとする供述をした者が自己矛盾供述をしたこと自体を要証事実として、その信用性を争う場合に限られると解する。
  そして、刑罰権の存否を基礎づける犯罪事実は厳格な証明の対象である。したがって、自己矛盾供述を弾劾証拠とする場合も、それが犯罪事実の証明力に影響を及ぼすものである以上、厳格な証明を要する。
⑵ Tの起訴内容は、営利目的の覚せい剤所持の罪であるところ、甲の証言のうち、Tが覚せい剤を用意し、それを甲が売って、売上げの半額をTの銀行口座に振り込んでいたというものである。これは、Tの犯罪事実を基礎づける内容である。
  これに対して、証拠1は、Tは覚せい剤の密売に関与していないという甲の供述を内容とする供述録取書であり、公判廷の甲の証言に対する自己矛盾供述であり弾劾証拠に当たる。これは、犯罪事実の証明において消極的に影響するものであるから、厳格な証明を要する。
  したがって、証拠1は甲の供述録取書であり、甲の供述が書面化されている点の伝聞性を解消する必要があり、甲の署名・押印を要する(321条1項参照)。しかし、甲の署名・押印はない。
⑶ よって、証拠1を弾劾証拠として採用することはできない。
2 証拠2
⑴ 公判廷における甲の供述では、覚せい剤の売上金の5割を丁名義の口座に振り込んでいたとしているところ、証拠2では、丁への送金に関して、覚せい剤の密売による売上金を分配したものではないと甲は供述している。これは、甲の自己矛盾供述であり、弾劾証拠に当たる。
⑵ 証拠2は、Pが作成した甲の供述を録取した書面であるから、甲の供述が書面化された点の伝聞性を解消するためには、甲の署名・押印が必要であるところ、署名・押印はある。
⑶ よって、証拠2は328条に基づき弾劾証拠として、裁判所は取り調べる旨の決定をすることができる。
3 証拠4
⑴ 328条の適用
 ア 上述のとおり、328条は、供述者の自己矛盾供述をしたこと自体を要証事実として、その信用性を争う場合に適用されるものである。証拠4は、乙の供述を内容とする供述録取書であり、甲の自己矛盾供述に当たらない。
 イ よって、証拠3は328条に基づき弾劾証拠として、裁判所は取り調べる旨の決定をすることができない。
⑵ 321条1項3号の適用
 ア この点、証拠3は、丁への送金が借金の返済という内容であり、その内容の真実性を立証することによって、公判廷における甲の供述の信用性を争うことも考えられる。
 イ もっとも、この場合、丁の供述録取書は伝聞証拠に当たるから、321条1項3号の要件を満たす必要があるところ、供述不能要件を欠く。
 ウ よって、裁判所は、証拠4を取り調べる旨の決定をすることができない。
第2 小問2
1 Rは証拠3を回復証拠として取調べを請求している。これは、328条に基づき、公判廷と一致した供述が取り調べられた証拠2と矛盾する供述を甲がしたこと自体を要証事実として、その証明力を争うものと解される。このような回復証拠は、供述内容の真実性を証明して信用性を争うものではなく、328条の「証明力を争うため」の証拠に含まれると解する。
2 証拠3では、証拠2と異なり、公判廷における甲の供述と一致する内容である。これは、証拠2以降に心を入れ替えて、公判廷での供述と一致する供述になったものと解される。
3 よって、証拠3は、回復証拠として証拠2の「証明力を争うため」の証拠に当たり、裁判所は、これを取り調べる旨の決定をすることができる。
以上

反省点は結構あって、後日また自分の答案にダメだししよっかと思ってます。
規範定立部分は完全にふわっとした感じで、たしか酒巻連載で似たようなこと言ってたなーって感じなので、結構適当。これで大丈夫?みたいな不安
それ以外も、設問1の必要な処分とか当てはめうすいけど、これでいいのかとか。
証拠1は供述録取書じゃないと判例の当てはめ難しいと思って、決め打ちして書いた点とか。
証拠4で伝聞証拠及び伝聞例外の検討は余事記載だとか。
証拠3は内容をもっと分析して当てはめを充実させて検討できたのではないかとか。
その他、色々細かい点で不安な部分結構あるかと思ってます。
なので、できれば某巨大掲示板にはさらさないでいただけると幸いです。
では、また機会があれば。