にーやんのブログ

三振したにーやんが再ローを経て司法試験に合格した弁護士の物語である

ロースクール制度も結構経つのに、未だに「実務家>学者」の構図は変わらない。の巻

まいどです。
勉強頑張ってますか?

今日は、三振・再ロー特有の愚痴です。

いわゆる上位ローに属するところに運良く行けたけれど、改めて思ったことがある。
それは、学者と実務家教員の質の違い。

自分は、修士も出たので、学術的な話も好きなので、学者の嗜好というか興味のあることはなんとなくわかる。
しかし、ロースクールというのは実務家、すなわち弁護士、検察官、裁判官といった法曹の中でもトップの実務家を養成する機関なわけで、実務家として通用するように育てることが最優先されるべきなのは当然のこと。
既修3期で入ったローでも、そんな当たり前のことを看過して、学部の延長で講義する学者教員がいた。
既修ではたった2年で司法試験合格レベルまで持っていかなければならない。
にもかかわらず、数少ないコマ数で司法試験出題=実務家として重要で最優先して学習すべき範囲を無視して、およそ実務とは無関係の自分の研究テーマに時間を費やす愚か者がいた。
そして、上位ロー、しかも試験委員やってたり、受験生の大判が基本書としてるような有名な先生でも、時間配分無視して学術的な話中心で(それが試験に役立つならまだしも)、重要なテーマについては
「後は読んで、復習しておいてください」
とか(笑)

これに対して、実務家教員は仕事柄きっちり時間遵守の精神があるからなのか、きっちり伝える必要のある重要なポイントを時間内にちゃんと教え込んでくれる。
実務家と学者の違いだなと、痛感した。

しかも、実務家養成機関であるにもかかわらず、民事系の実体法の学者だけでなく、訴訟法の学者も、要件事実論については、まだまだ意識が薄い。
「京大の民法学者を見習えよ」
そんな愚痴をつぶやかざるをえない。

例えば、ロー制度が始まって結構経つのに、未だにこんな(有名な)先生がいた。
「この制度は、もともとは中世フランス法の……」

学術的には興味深い話ではあったので、自分的にはおもしろいなと思えたけれども、しかし、普通に司法試験合格を最優先とする受験生からしたら、逆に現行日本法と違う比較法の話は混乱させるだけで、百害あって一利なし。
優先順位を間違えている。
最近の実務で重要な判例、例えば真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続請求の判例とか学ぶなら、絶対に触れなければならないことがある。例えば、
① 登記請求権というものがどういう請求権で、その根拠は何か?一般的な3類型の登記請求の話
② 真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続請求が、不実な所有権登記がある場合に、その抹消に代えてなされる実務上の便宜でなされているという実体
③ その請求が認められる範囲は、中間省略登記との関係もあって常に認められるというわけではなく、認められる類型があるということ
こういったことを学習した上で、初めて意味を持つ判例で、しかも実務においても重要。
こういった、実体法と手続法が交錯する分野って軒並み、学者は議論を控える傾向にある。
得意分野でしか戦いたくないといった感じ。

かたや、実務家はそんなこと言ってられない。苦手でも勉強して勝たなければならない。

この点が好きな勉強しかしない学者との違いなんだろうなぁ。
そんな愚痴ってる自分も、修士時代はそんな感じで好きな勉強しかしなかった。
だから、今改めて思うのは、それではクライアントの要求はとてもじゃないけれど満たせない、絶対にダメだと。
自己満足の論文しか書けない学者よりも、クライアントのためにちゃんと結果を出せる、そんな法曹になりたい。実務家として。

そんなことを考えさせられた一週間でした。