にーやんのブログ

三振したにーやんが再ローを経て司法試験に合格した弁護士の物語である

司法試験制度に対応する能力。の巻

まいどでーす。

日曜日ということもあって、好きなことやってました。

実務家になったら、絶対に必要になるだろう知識のひとつ
民事執行法民事保全法なんかの勉強してました(ひとつじゃない)。

必ずしも司法試験に直結するようなことじゃないかもしれないけれども、例えば、担保物権法の理解なんかもこれまで表面的な理解だったなとか反省しながら、民事執行法の勉強してました。

こういうことが好きで、試験対策ちゃんとしてないからダメなんかなぁ、とかも思ったり。
知的探求は最高の自己満足で贅沢な時間で、でもそれは試験対策とはちゃうんやなぁ。

特に、去年から、司法試験の問題傾向が変ったような気がする。
論文の問題量が増えた。
そんな気がする。
個々の問題は必ずしも難しいものではない、けれど、すべてきちんと法的三段論法で処理することは不可能な問題かなと。
試験対策としては、重要で配点の大きな論点だけ選別する。また、重要論点だけ厚く書き、軽い論点は軽い当てはめにする。
そういった能力のほうが今はより必要とされているなーと。

このブログのように、民訴の設問3だけで、長々と記事書いてるけれど、そういう考察は司法試験では全く不要。
理由も2~5行程度で、結論をまとめるだけで、十分。
あとは、当てはめを充実させる。

そういう能力が司法試験で必要とされてるなーと。
制度に対する不服は色々あるけど、それに適合できる能力が必要なんだなと。

そんなことを、反省しながらの休日でした。

また試験勉強頑張ろう。

訴訟物と既判力の関係について

まいどでーす。

梅雨入りして、なんかしんみりな感じしますね。

もう民訴はいいかなとも思ったのだけれども、似たような質問が結構ありまして、質問の根本的な原因は何かなーと思ったところ、訴訟物の理解がかなり曖昧な点にあるのかなと思いました。

で、今日は訴訟物について、なんか書こうかなと。
目次

  • 訴訟物
    • 旧訴訟物理論(藤田広美・解析民事訴訟法35頁)
    • 旧訴訟物理論の帰結(リークエ民訴47頁)
    • 旧訴訟物理論の問題点(前掲伊藤201頁)
    • 旧訴訟物理論による問題の対応
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平成29年司法試験短答式試験の合格点は……

まいどでーす。

短答の合格点が出ました。


ななななな、なんと
短答式試験の合格点は108点!!!!
http://www.moj.go.jp/content/001225941.pdf

去年よりだいぶ下がりましたねえ。

にーやんは択一苦手なんですが、短答通過者平均を超えていたのでとりあえず第一関門はクリアです。
短答通過者平均は一つの目安だったので、良かったです。

思い返してみると、予備試験の短答を含めると10回近く連続で短答は通過してるので、ほんと論文対策ちゃんとしろよって話です。いや~、お恥ずかしい!!!!
とはいえ、本当に択一苦手なので、昔はかなり勉強しました。
でも、三振した直後からまったく択一対策しなくなり、三振直後に受けた予備試験はまだ余裕とか思ってましたが、年々下がる一方。特に、二回目のロースクール生活中は、択一対策は怠慢だったなと……
当たり前なのです。択一なんて入れなきゃ、スーっと知識が抜けるんですから。綺麗に下降していきます。

直前期くらいはちゃんと択一用の知識を詰め込む必要があるなぁと、当たり前ながら思いました(毎年思ってる)。
択一対策せずになんとか合格点取れていたのは、それでも既存の知識がほんの少し残っていて、それを最大限に活用して、なんとか人並みの点数になったという感じがします。

苦手意識が強いせいか、毎年この時期は結構ドキドキです。

それより論文ですな。
正直、自信はない。
ので、今のうちに演習をしておこうっと。

はぁ……


たまたま下記のブログ見つけました。
ameblo.jp

国内トップクラスの、東大ローや一橋ローでも2割の受験生が短答落ち。

短答すら合格しない学生を卒業させちゃダメでしょ・・・。

コメント欄がこの発言で炎上してました。あらあら。

三振するような小生も卒業させんなってことですね、わかります。
とはいえ、短答も論文もロー修了生(と予備試験合格者)だけが受けて、たとえロー修了生が全員優秀であっても、そのうちの一定数(短答は受験者の3分の1)必ずを落とす試験。
つまり、全員合格は(全員優秀であったとしても)あり得ない試験ということです。例えば、今年の問題で仮に受験者3分の2が170点以上取って、残り3分の1が全員165点ならこの人達は短答に落ちるという試験なので(ちなみに今年の最高点は163点)、「短答合格する人だけローを卒業できるという仕組み」なんていうのは一定数必ず落とす試験制度において成り立たないということですね(この点で行政書士試験なんかと異なりますね)。
ほんま世知辛い試験ですわ……

H29民訴論文設問3 再考――法的性質に既判力が生じるという意味(補足)

H29民訴論文設問3では、売買契約の成否及びその額には前訴の既判力が及ばないという点については、以下の記事でみました。

nihyan.hateblo.jp
nihyan.hateblo.jp

小生の説明不足からか、正確に伝わっていないようです。申し訳ございません。
ご質問を受けました。

受験生
 すいません 質問なんですが にーやんさんは「売買契約に基づく」という部分を訴訟物を特定するための手段に過ぎないという趣旨の書き方をされていましたが 民訴法114条1項の主文に包含する範囲は訴訟物を指すのが通説ですよね そして旧訴訟物理論は実体法上の請求権を識別基準にするのだから「売買契約に基づく」という部分は旧訴訟物理論に立つ限りは訴訟物そのものですよね 普通に考えたら売買契約の締結は判決理由中の判断で既判力は生じませんが「売買契約に基づく」という部分も既判力をもって確定されそうなものですが この当たりがよくわからないのです

>旧訴訟物理論は実体法上の請求権を識別基準にするのだから「売買契約に基づく」という部分は旧訴訟物理論に立つ限りは訴訟物そのもの
おっしゃる通りです。が、訴訟物の意味の捉え方が問題です。この部分をもって、「売買契約の成立という訴訟物に対する判断がなされる」とすれば、それは間違いです。

>普通に考えたら売買契約の締結は判決理由中の判断で既判力は生じませんが「売買契約に基づく」という部分も既判力をもって確定されそうなものですがこの当たりがよくわからない

「売買契約に基づく」という部分も既判力をもって確定されるの確かですが、その意味が問題です。
結論からいえば、既判力をもって確定されるのは、判決理由中の売買契約の成否ではなく、当該請求権が売買契約の権利であるという法的性質に関する部分です。

目次

  • 「売買契約に基づく」という部分も既判力をもって確定されるという意味
  • 法的性質に既判力が生じるという意味
  • 先決関係
    • 先決関係で後訴に前訴の既判力が作用する場合
    • 先決関係を理由に前訴の既判力が作用しない場合
  • 補足
    • 前訴・後訴同一の契約による請求
    • 請求権競合・複数の契約
  • 補足の補足
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H29民訴論文設問3 補論

補論

コメントで、民訴設問3に関して、「売買契約に基づく本件絵画の引渡請求権」の存在に既判力が生じるとすると、「売買契約に基づく」という部分も既判力が生じるから、後訴はやはり売買契約の不成立の主張に遮断効が生じるんではないか?という質問を受けた。

この点に関してもこの記事で検討したつもりです。
nihyan.hateblo.jp

それよりも、旧試の平成15年度第2問が今年の民訴の解答を提供しているにもかかわらず、この点に触れるのを忘れてました。
以下で、コンメンタールや藤田先生が指摘するように、引換給付の売買契約に基づく代金債権については既判力は生じません。

ということで、基本の確認

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民訴法論文における既判力が「及ぶ」と「生じる」の書き分け

おいすー

にーやんです。

既判力

既判力って難しいよね。
ということで、今回も既判力のお話。


ところで、皆さんは、勅使川原和彦先生のことをご存じだろうか?
通称テッシー

テッシーの『読解 民事訴訟法』という本がなかなかおもしろい。
何がおもしろいって、次のようなわけわからない民訴の世界に浸れるところだ。

テッシー『読解 民事訴訟法』152頁

 「仮面ライダーに変身することと,変身後の仮面ライダー(注1)がライダーキックを誰彼構わずお見舞いしまくることを,同じだと考えていないか?」
となんともビミョーな喩えで説明して学生に呆れられているが,既判力が「生じる」(仮面ライダーに変身する)ことと既判力が「及ぶ」(ライダーキックをお見舞いする)ことは違うのである。仮面ライダーがライダーキックをお見舞いするのは,ショッカーに対してだけであり,既判力においては,前訴と後訴の訴訟物が「同一関係」「先決関係」「矛盾関係」のいずれかにある場合にだけ作用する(=効力が「及ぶ」)とされているのである。
 しかし学生の答案では,とにかく無辜(むこ)の一般市民にライダーキックをお見舞いしまくるものが意外に多いのである。



注1)仮面ライダーを知らない方のために簡単に補足すると,仮面ライダーは人類を守る正義のヒーローで主人公が変身して超人的な能力を得た姿であり,ライダーキックはその必殺技。ショッカーは地球征服をたくらむ悪の組織とその戦闘員である(原作漫画:石ノ森章太郎,@石森プロ・毎日放送東映)。

意味不明である。
そして、お見舞いしまくりである。

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